「来週から新しいチームに異動になった。メンバーとの初回1on1、何をどう話せばいいんだろう...」
異動や着任が決まったとき、多くの方がまず不安に感じるのが「部下との初めての1on1」ではないでしょうか。まだ名前と顔が一致しない。前任がどんなマネジメントをしていたかもわからない。そんな状態で30分の面談に臨むのは、正直かなり緊張しますよね。
でも、安心してください。初回1on1は「うまく話す」必要はありません。大事なのは、「この人は自分の話を聴いてくれそうだ」と思ってもらうこと。それだけで、今後の関係づくりはぐっと楽になります。
この記事では、異動・着任直後の初回1on1を成功させるための進め方を、タイムテーブルや具体的な質問例とともにお伝えします。
初回1on1が「基準点」になる理由と、やりがちな3つのNG行動
初回の1on1は、メンバーにとって新しい上司の「第一印象」を決める場です。
人は最初の接点で感じた印象を、その後もかなり長く引きずります。「この上司は話を聴いてくれる人だ」と感じてもらえれば、2回目以降の1on1で本音を引き出しやすくなります。逆に初回で「この人とは合わないかも」と思われてしまうと、そこからの信頼回復には2〜3カ月かかることも珍しくありません。
だからこそ、初回で避けたいNG行動を先に押さえておきましょう。
NG1. 自己紹介だけで30分が終わる
「自分のことを知ってもらおう」と張り切って、経歴や仕事のスタイルを延々と話してしまうパターンです。気持ちはわかりますが、メンバーからすると「一方的に聞かされた」という印象だけが残ります。自己紹介は5分以内に収めて、残りの時間は相手に使いましょう。
NG2. 方針表明を一方的にする
「私はこういうチームにしたい」「こういう方針でやっていく」と、着任早々にビジョンを語りたくなる気持ちもわかります。でも、まだメンバーの状況も課題も把握できていない段階で方針を語ると、「現場を知らないのに勝手なことを言っている」と受け取られかねません。方針の話は、全員との1on1が一巡してからでも遅くありません。
NG3. 前任のやり方を否定する
「前はこうだったみたいだけど、自分はこうしたい」という比較は、無意識にやってしまいがちです。前任のマネージャーを慕っていたメンバーがいれば、それだけで心理的な壁ができてしまいます。前任のやり方については、まず「どんな進め方をしていましたか?」とフラットに聞くのがおすすめです。
実は私自身も、異動直後の初回1on1でこの失敗をやらかしています。着任して最初の1on1で、「このチームをこういう方向に持っていきたい」「こういう基準で仕事を進めてほしい」と、自分のビジョンを一方的に語ってしまったんです。メンバーの表情がだんだん曇っていくのに気づいたのは、面談が終わってからでした。後で聞いたところ、「現場の状況も聞かずに方針だけ押しつけられた」と感じたそうです。
リカバリーとして、翌週の1on1で「前回は自分ばかり話してしまってすみません。今日はあなたの話を聞かせてください」と正直に伝えました。そこから少しずつ関係が戻り始めましたが、最初の印象を取り戻すのに1カ月以上かかりました。初回で「聴く」ことの大切さを、身をもって学んだ経験です。
最初の30分の進め方|時間配分とアジェンダ例
「何を話せばいいかわからない」という不安は、**型(かた)**があれば解消できます。以下は、初回1on1で使えるタイムテーブルの一例です。
自己開示タイム(5分)
まず自分から簡単に自己紹介をします。ポイントは、経歴よりも人となりが伝わるエピソードを入れること。
- 「前のチームではこんな仕事をしていました」(1〜2文で十分)
- 「実は私も初めてマネージャーになったとき、1on1が苦手でした」
- 「休日は子どもとキャンプに行くのが好きです」
完璧な自己紹介は不要です。少しだけ弱みや素の部分を見せることで、相手も構えずに話しやすくなります。
相手を知る質問タイム(15分)
ここが初回1on1の核です。メンバーに質問を投げかけ、とにかく聴くことに集中します。相手が話しているときは、うなずきや「なるほど」といったリアクションを意識的に入れましょう。沈黙があっても焦らず、5秒くらい待ってみてください。考えてから答えたい人もいます。
今後の進め方のすり合わせ(10分)
最後に、今後の1on1の進め方について軽く合意をとります。
- 「1on1は隔週で30分くらいを考えていますが、どうですか?」
- 「話したいことがあれば、そちらを優先しますね」
- 「次回までに何か気になることがあったら、チャットでも気軽に声をかけてください」
ここで大事なのは、決定ではなく提案のトーンで伝えること。「こうします」ではなく「こう考えていますが、どうでしょう?」という聞き方をするだけで、メンバーは「自分の意見も尊重してもらえる」と感じます。
前述の失敗を経て、次の異動ではこの「自己開示5分→質問15分→すり合わせ10分」の型を意識して臨みました。特に効果があったのは、自己開示の5分で自分の弱みを先に見せたことです。「実は前のチームで初回1on1に失敗して、メンバーとの関係づくりに苦労した経験がある」と正直に話しました。すると、それまで表情が硬かったメンバーが少し笑って、「実は自分も前の上司との1on1が苦手だったんです」と打ち明けてくれたんです。
完璧な上司を演じるよりも、「自分もまだ模索中です」と素直に伝えたほうが、相手も構えずに話しやすくなる。初回1on1の自己開示は、スキルではなく姿勢の問題なんだと実感しました。
そのまま使える質問リスト15選|目的別に整理
初回1on1で使える質問を、目的別に整理しました。全部を聞く必要はありません。相手の反応を見ながら、3〜5問ピックアップして使ってみてください。
相手を知るための質問(5問)
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「これまでのお仕事の中で、一番やりがいを感じたのはどんな仕事でしたか?」 → スキルとモチベーションの源泉が同時にわかります。
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「このチームに来て、率直にどんな印象をもっていますか?」 → 入社・異動直後の新鮮な違和感は、チームの課題発見につながることもあります。
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「仕事をするうえで、大切にしていることはありますか?」 → 価値観を知ることで、今後のコミュニケーションのヒントになります。
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「どんなときに仕事が楽しいと感じますか?」 → ポジティブな話題から入ることで、場の空気が和らぎます。
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「働き方や環境で、気になっていることがあれば教えてもらえますか?」 → 早い段階で困りごとを拾えると、信頼につながります。
仕事の現状を把握するための質問(5問)
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「今いちばん時間を使っている業務は何ですか?」 → 業務の全体像をざっくり把握できます。
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「今の仕事の中で、進めづらいと感じている部分はありますか?」 → 課題やボトルネックを早期にキャッチできます。
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「チームの中で、普段よく相談する相手はいますか?」 → 人間関係の構造や、孤立していないかを確認できます。
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「いま抱えている業務の優先順位について、迷っていることはありますか?」 → 判断軸のすり合わせに使えます。
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「前任のマネージャーとは、どんなふうに1on1をしていましたか?」 → 前任のスタイルを知ることで、メンバーの期待値がわかります。
期待をすり合わせるための質問(5問)
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「上司に対して、こうしてほしい・こうしてほしくない、ということはありますか?」 → 意外と本音が出やすい質問です。初回だからこそ聞けます。
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「今後、挑戦してみたい仕事や役割はありますか?」 → キャリア志向の確認。アサインの参考になります。
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「1on1の時間を、どんなふうに使えたらうれしいですか?」 → 1on1そのものへの期待値を合わせられます。
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「私に知っておいてほしいことがあれば、何でも教えてください。」 → オープンな問いかけで、想定外の情報が出てくることもあります。
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「今日話してみて、気になったことや聞きたいことはありますか?」 → 締めの質問として。メンバーからの逆質問を促すことで、双方向の対話になります。
まとめ|初回1on1は「聴く8割」で十分うまくいく
初回1on1で大切なことを、3つだけ振り返ります。
- 自分が話すのは2割。残りの8割は、相手の話を聴く時間にあてる
- 型(タイムテーブル)を用意しておくと、緊張していても進められる
- 完璧に話す必要はない。「聴いてくれる人だ」と思ってもらえれば、それが信頼の出発点になる
異動や着任の直後は、自分自身も不安でいっぱいだと思います。「うまくやらなきゃ」と力が入りすぎると、逆にメンバーにもその緊張が伝わってしまいます。
少し肩の力を抜いて、「あなたのことを知りたいんです」という気持ちで向き合ってみてください。それだけで、最初の1on1は十分うまくいきます。
初回1on1の進め方に迷ったら、ManeBookのAIメンターに相談してみてください。あなたの状況に合わせた質問の選び方やアジェンダの組み立て方を、一緒に考えます。