「明日の1on1、何を話せばいいんだろう...」
部下との面談が明日に迫っているのに、話すことが思い浮かばない。そんな経験が、管理職になったばかりの方には特によくあります。準備できないまま当日を迎え、進捗確認だけで終わってしまう。毎回同じ質問しかできない。部下に「この時間、意味あるのかな」と思われていないか不安になる。
この記事では、そんな悩みをまるごと解消するために、状況別の1on1テーマを30個まとめました。明日からすぐ使えるものを中心にそろえています。
1on1の目的を、まず確認しておきましょう
テーマを探す前に、1on1の目的を整理しておくことが大切です。
1on1は**「部下のための時間」**です。上司が情報を集めたり、指示を出す場ではありません。
1on1は「聞く場」であって「話す場」ではない。上司の発言量が50%を超えたら、それはもう1on1ではなくミーティングです。
部下が何を感じ、何に困り、どこへ向かいたいのかを引き出す。それが1on1の本質です。
1on1の目的は大きく4つに分けられます。
- 信頼関係の構築 — 特に関係の初期段階
- 業務課題の早期発見 — 問題が大きくなる前にキャッチする
- キャリア開発の支援 — 中長期的な成長を一緒に考える
- モチベーションの把握 — 働きがいを維持・回復させる
この目的は、部下の状況や時期によって変わります。だからこそ「話すテーマ」も状況に合わせて選ぶ必要があるのです。
やってはいけない1on1のパターン
テーマを考える前に、やりがちな失敗を3つ確認しておきましょう。
1. 進捗確認だけで終わる 「今週どう?」「あの案件、進んでる?」だけで終わると、部下にとってはただの報告会です。普通のミーティングとの違いがなくなります。
2. 評価面談と混同する 1on1はフラットな対話の場です。「あれ、うまくいってないよね」といった評価的な発言は、部下を防衛的にさせます。評価の場は別に設けましょう。
3. 上司が話しすぎる アドバイスや持論を語りたくなる気持ちはわかります。でも、それでは部下の本音が引き出せません。質問して、聞いて、少し沈黙を待つ。これが基本です。
状況別テーマ例30選
新メンバーとの初回〜3回目(関係構築)
入社直後や異動してきたばかりのメンバーとの1on1では、**「まず相手を知る」**ことを優先します。業務の話は二の次です。
- 「以前の職場での経験で、一番手応えがあったのはどんな仕事でしたか?」 スキルと意欲を同時に把握できます。
- 「このポジションに来て、率直にどんな印象をもっていますか?」 不安やギャップを早めに拾える質問です。
- 「職場でやりやすい環境や働き方があれば、教えてもらえますか?」 配慮が必要なことを早めに把握できます。
- 「今の仕事のなかで、わからないことや慣れないことはありますか?」 SOSを出しにくい人でも答えやすい聞き方です。
- 「1on1の時間をどう使いたいか、希望はありますか?」 この場自体の合意形成ができ、部下の主体性も引き出せます。
慣れてきたメンバーとの定例(業務とキャリア)
ある程度関係ができてきたら、業務の課題とキャリアの話を交互に織り交ぜます。毎回同じ質問では飽きられるので、テーマをローテーションさせるのがコツです。
- 「今週いちばん頭を使った仕事は何でしたか?」 業務の深さや優先事項を把握できます。
- 「今の業務で、もっとうまくやれると感じている部分はありますか?」 自己改善の意識と成長領域を確認できます。
- 「チームの動きを見ていて、気になることはありますか?」 マネージャーが気づかないチーム内の課題が浮かびやすい質問です。
- 「半年後、1年後にどんな仕事をしていたいですか?」 キャリア志向の確認。定期的に聞くことで変化も追えます。
- 「いまの自分のスキルで、足りないと感じているのはどのあたりですか?」 自己認識と成長課題を引き出す定番の質問です。
成果が出ていないメンバーとの1on1(課題発見)
成果が出ていない状況では、責めるよりも**「何が障害になっているか」を一緒に探る**姿勢が大切です。
- 「この仕事を進めるうえで、いちばん難しいと感じているのはどこですか?」 原因を外在化させることで、責任追及の空気を避けられます。
- 「誰かにサポートしてもらえたら助かる、という場面はありますか?」 孤立しているメンバーを発見するのに有効です。
- 「この仕事の優先順位について、どう判断していますか?」 仕事の詰め込みすぎや、優先判断のズレを確認できます。
- 「もし時間と資源が十分あったとしたら、どう取り組みたいですか?」 理想と現実のギャップを部下の口から聞き出せます。
- 「最近、仕事の中で達成感を感じた瞬間はありましたか?」 成果が出ていない局面でも、小さな成功体験を掘り起こせます。
モチベーションが下がっている部下(感情把握)
言葉数が減った、表情が暗い、そんな兆候があるメンバーへの1on1では、業務よりも感情に寄り添う質問を優先します。
- 「最近、仕事に対してどんな気持ちで向き合っていますか?」 オープンな質問で、本人が言語化しやすい状況をつくります。
- 「ここ最近、特に疲れたり消耗した出来事はありましたか?」 過重負荷や人間関係のストレスを引き出しやすい質問です。
- 「何かうまくいかなかったことがあれば、聞かせてもらえますか?私も一緒に考えたいです。」 「聞いてくれる上司」という安心感を与えます。
- 「職場の雰囲気や環境で、変えてほしいと思うことはありますか?」 チーム・組織の問題を間接的に引き出せます。
- 「いま、私にできることはありますか?」 シンプルですが、信頼関係があるからこそ刺さる一言です。
キャリア面談・半期振り返り(成長支援)
半期や年度の節目には、少し長い時間をとって、成長と将来の話を丁寧にします。
- 「この半年で、自分が成長したと感じる部分はどこですか?」 自己評価を先に聞くことで、対話の質が上がります。
- 「逆に、もっとうまくできたと思う場面はありましたか?」 振り返りの習慣をつくる問いかけです。
- 「5年後、どんな仕事をしていたいですか?キャリアのイメージはありますか?」 長期視点でのキャリアビジョンを共有する機会です。
- 「そのために、次の半年で特に取り組みたいことはありますか?」 目標設定を本人主体にするための問いです。
- 「私(上司)に、もっとこうしてほしいということはありますか?」 上司へのフィードバックを求める。これができる管理職は信頼されます。
ベテラン・年上メンバーとの1on1(敬意と対等)
年上や経験豊富なメンバーとの1on1は、上から目線にならないことが最重要です。**「一緒に考えたい」**という姿勢を崩さないようにしましょう。
- 「長く現場を見てきたからこそ、今の状況をどう見ていますか?」 経験を尊重しつつ、視点を借りる問いかけです。
- 「最近の業務の進め方について、何か感じることはありますか?」 暗黙の不満や改善提案を引き出せます。
- 「私がマネージャーとして、至らないと感じることはありますか?」 勇気のいる質問ですが、信頼関係が深まる一手です。
- 「チームの若手に対して、気になっていることはありますか?」 ベテランの視点からチームの問題を俯瞰してもらえます。
- 「今後、あなたにどんな役割や仕事を担ってほしいか、私の考えを聞かせてもいいですか?」 一方的に決めるのではなく、対話のなかで合意する姿勢を示せます。
年上メンバーとの1on1に苦手意識がある方は、年上部下との信頼関係を築く5つの実践法も合わせて読んでみてください。接し方の具体的なヒントが見つかるはずです。
部下タイプ別の質問のコツ
テーマを選ぶだけでなく、部下の特性に合わせた聞き方も意識すると、1on1の質が上がります。
口数が少ないタイプ クローズドな質問(はい/いいえで答えられるもの)は避け、「どう思いましたか?」「どんな感じでしたか?」というオープンな問いに切り替えましょう。沈黙を埋めようとしないのも大事です。
饒舌だが本音が見えにくいタイプ 「たとえば、具体的にはどんな状況でしたか?」と深掘りすることで、表面的な話から実態に迫れます。
反論や愚痴が多いタイプ 頭から否定せず、「そう感じているんですね」と一度受け止める。その上で「理想の状態はどんなイメージですか?」と建設的な方向に向けます。なお、強めの指摘が必要な場面で「これはパワハラにならないか」と不安になったら、パワハラと指導の境界線を整理した記事が判断の助けになります。
何でもポジティブに答えるタイプ 「困っていることは何もないですか?」ではなく、「もし一つ変えられるとしたら、何を変えたいですか?」のような仮定形の質問が有効です。
筆者の実体験:1on1で信頼関係を築いた方法
私がマネージャーとして初めて1on1を始めたとき、最初に意識したのは「業務の話よりも先に、人間関係を作ること」でした。特にエンジニアのメンバーは、雑談や自己開示が苦手な人も多い。だからこそ、私のほうから先に自分の失敗談や悩みを話すようにしていました。「自分も完璧ではない」という姿を見せることで、相手が少しずつ本音を出しやすくなっていく。その積み重ねが、信頼関係の土台になると考えていたからです。
心理的安全性がなければ、どんなにうまいフィードバックも届かない。まず「この人には話せる」と思ってもらうことが、全ての始まりだった。
その関係性を作ってから、ようやく踏み込んだ話ができるようになりました。プロジェクトの振り返りを本人に語らせ、私が「自分だったらこう考える」という視点でフィードバックを加える。答えを押しつけるのではなく、気づきを促すやり方です。すると、メンバーが「成長できている」という実感を持ちやすくなり、自然と職場へのコミットメントも高まっていきました。離職率が低く保てたのも、こうした1on1の積み重ねが効いていたと今でも思っています。
状況によって、正解は変わります
この記事で紹介した30のテーマは、あくまでも出発点です。
大切なのは、目の前の部下が今この瞬間に何を必要としているかを感じ取り、そこから逆算してテーマを選ぶことです。同じ部下でも、先週と今週では状態が変わっていることも多い。
「この人には今日、どんな話が必要だろう?」
その問いを持ち続けることが、1on1を形式的な義務から、本当の意味での対話に変えていきます。
1on1の準備時間は5分でいい。ただし、「相手のことを思い出す5分」であること。
テーマに迷ったとき、部下の状況を整理したいとき、ManeBookのAIメンターに相談してみてください。あなたの状況に合わせた質問案を一緒に考えます。